暗がりで手を洗う/中田満帆
を見殺しにした
可読性よ、
おまえはおれを縛りつける
どうやっても人生が理不尽さにあらがえないときこそ、
アルコールが必要なんだって、
おれはおれにいい聞かせて来た
だって社会はもはや閉鎖病棟そのもので
だれもが病衣を着て歩いてる
だれが医者で、だれが患者かの区別はもはやない
おれは水を流した
便秘のブルースを歌う、ジェイ・ホーキンスみたいにいつか、
黒魔術を使って、あの医者や看護人どもを殺したい
そして血に滲む愉楽のなかで、
ちょいと千年ばかしの夢を泳ぎたいんだ
こいつは赦されるだろうか?
──もちろん。
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