交信は不可能/ホロウ・シカエルボク
 

時刻は午後四時で、僕は見知らぬ部屋の中に居る、マンスリーマンションのような、生活に最低限必要なものだけを揃えた味気のない部屋の中だ、玄関を開けるとすぐにキッチンがあり、木枠にアクリルガラスをはめ込んだ片開きドアを開いたところにリビングがある、椅子もクッションもない、カーペットすら敷かれていないその部屋の中で僕はあぐらをかいて座っていた、僕の前には正方形の板に丸い足をつけた木材のテーブルがひとつだけ置かれていた、ホームセンターで板と棒を買ってきてくっつけたみたいな素気ないテーブルだった、この、全体的な素気なさは僕自身に原因があるのかもしれない、僕はふとそんなことを思った、夕食の献立が不意に決まっ
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