ヒスフェル聖国参戦(三)/朧月夜
 
「まず、クールラントとラゴスに不足しているのは、
 歩兵と騎兵の数です。しかし、これは問題ないとも言えるでしょう。
 我が国からは、五千ほどの歩兵と騎兵を派遣すれば良いかと思います。
 問題は魔導士です。アースランテには、優れた正魔導士が六人います」
 
「魔導に対しては、魔導で対さなければいけないというのだな?」
「その通りでございます。某も含めて、ヒスフェル聖国中の魔導士たちを、
 総動員したほうが良いでしょう。今、その数を惜しんでいる暇(いとま)はありません」
オアシム・ラ・ハグールは、ゆっくりとうなづく。

「それでは、オスファハンよ。そなたを、この度の遠征軍の団長に据える。
 魔導部隊を率いて、ラゴスとクールラントに加勢せよ。
 アースランテの横暴はどうしてもここで食い止める必要がある」

「分かりました。一命にかけて、ヒスフェル聖国の軍隊を率いましょう。
 小生は老いたる一魔導士ですが、戦いというものが何たるかは分かっているつもりです」
オスファハンは厳かに答えた。その時、脳裏にはエインスベルの面影が浮かんでいた。
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