透ける月光/秋葉竹
 

楽しくって、嬉しくって、
なのに、
震え戦き、寂しい孤独に襲われる。

君の瞳からこぼれる真っ赤な血を
拭っても、拭っても、
今は僕の
目の前には暗闇しかなく、
君の笑顔は二度と戻らないんだと、
知る。
やり直しもきかず、
再生もできず、もはや、
壊れてしまったガラクタAIの笑顔みたい。

指を伸ばして
届く距離でも
触れられない
きみの身体には、
むろん心にも。

あの、愛おしくてキスした
月光に照らされる
濡れたまつ毛さえ
みせないために、
僕を大きな目で、
無表情に、
みつめているのか。


夜に、僕の心が、透けた。


想い出を守れずに、死んだ。












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