透ける月光/秋葉竹
夜に、心が、透けた。
僕らはいつだって泳ぐ魚のように、
自由に青い空間を跳ね回るんだって、
べつに日々の暮らしを守るなかで、
そんな風でいることがあたりまえだと思っていたよ。
ふたりなら、
どこでだって、
電車待つ構内でだって、
信号待ちの交差点でだって、
お気に入りのショップの中でだって、
僕のベッドの上でだって、
君のベッドの上でだって、
バシャバシャ、バシャバシャ、
抜き手きってカッコよく
泳いでいられるって、
信じていたよ、いつまでも、そうだって。
今、なぜか、僕は孤りで溺れている。
まるで君の心を食べてしまったみたい、
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