アジェスの森の戦い(五)/朧月夜
 
召喚されたドラゴンは炎を吐き、アジェスの森ごと、
アースランテの兵たちを焼き払っていった。その数、数百。
しかし、アースランテのほうでも手をこまねいていたわけではない。
「ドラゴンの目を潰せ、まずはその視界を奪うのだ」

エリス・ガザンデは言った。そして、弓兵隊が前に出る。
アースランテの弓兵隊には、いわゆる長弓のほかに、石弓の部隊もいた。
すなわち、クロスボーの扱いに長けた集団である。
彼らの狙いは精確だった。クロスボーのボルトはドラゴンの目に命中した。

そこをワイバーンたちが攻撃してゆく。
ワイバーンの爪と歯は、ドラゴンの鱗を切り裂けるほど鋭かった。
小傷でも、数が増えれば敵へのダメージになる。魔導士たちは奮戦する。

「その調子だ。二頭のドラゴン、召喚時間は短いに違いない。
 今のうちに両の目をつぶしてしまうのだ」
エリス・ガザンデはラゴスの兵たちを剣で倒しつつ、味方を激励した。
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