夜に煤けた歌の行方は/ホロウ・シカエルボク
 

失われた歌がもう一度流れる、時が地に落ちた午前零時、掠れた声の中に、鬱血のような産声、痙攣のようなビブラート、消え行く瘴気みたいに、路面の亀裂の中へ潜り込んでミミズどもに食われる、神が己の下着の中に手を滑り込ませる、曇り空は微かな電流を孕んでいる…ロービートの裏側へとすべては流れていく、母親の後ろへ隠れる子供のように、でもそれに変わる加護などどこにもありはしないのだ、いつか訪れた、半分が土砂に埋もれた廃小学校の黒板に書かれていたたどたどしい、筆記体の初級英語の遺書、それが本当に行われたのかどうかなんて誰も知らない、けれど意志は永遠にあの、泥で斑になった黒板の上に刻まれている―まだほんの少し、ま
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