不憫な子 そう呼ばれたかった大人たち/ただのみきや
 
詩人なら歌うように語れ
翼を切られて 籠の中でも





寝ても覚めても

朝の爆発的な光の中では
瞳の容量を思い知らされる
一瞬で飽和して
もうなにも見る気がしない

暗闇では別だ
それは宇宙に?がる深い井戸
物音や匂いまでが像を結ぶ
沈んでゆく指輪の質感を追うように

シャッターを下ろした後も
燭台は灯る 静かに水の中のように
太陽はもう眩しくはなく
記憶の砂地から人々は起き上がる

目を覚ませばまた光の強権
目は口ほどにものを言わない
だが口よりもよくものを食う
貪婪な美食家? いやいや雑食





球根

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