ワイジェの丘の戦い(六)/朧月夜
ラジーク・ユーゲルは言った、「エインスベルよ、あまり深入りするな」
「御意。アースランテの騎士にはメゾポンテの相手をさせるつもりです」
「メゾポンテか、この周辺の魔法素子が薄くならないと良いが」
「頃合いは心得ています。ご心配は無用です」
「エインスベル、これほど早く敵になるとはな……」
「すべては、あなたがアースランテへと亡命した日に始まったのです。
しかし、わたしにも瑕疵はあります。ファシブルの政変を誘発したことです」
「過去のことを口にしても、何も始まるまい、我々は今敵同士なのだ」
だが、そこにもう一つの声が上がった、フランキス・ユーランディアである。
「アイソニアの騎士は我が宿敵。今こそその首を長槍の先端にかかげてみせようぞ」
「フランキス・ユーランディアか。お前は剣戟にも魔導にも優れているが」
「しかし、エインスベルが結界を張った今ではどうかな。
この土地の魔法素子はかなりの量を消費している。
フランキス・ユーランディア、魔法素子の少ない土地でも、お前は戦えるのか?」
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