ライランテ戦争開戦(四)/朧月夜
 
アースランテの前衛には三万、後衛には六万の兵士たちが配された。
後衛に配された兵士の一人が、
第一の千人隊長であるエリス・ガザンデに尋ねた。
「なぜ、このような編成にしたのですか? 前衛をもっと厚くしては?」

それに対して、エリス・ガザンデは答えた。
「この戦いは補給が重要なのだ。相手はわが軍と同じほどの兵を持っている。
 しかし、所詮は二国間の集合体だ。完全な連携は取れないだろう」
「なるほど、よく分かりました」兵士は頷いた。

ラゴスの南部にある街々、トングル、ザーレハイトなどは、
瞬く間にアースランテの軍隊によって占領されてしまった。
ラゴスの東南部にある諸国家群、ファンクト、ペシリカなども同様だった。

アースランテの軍が行くところには、死体の山が築かれた。
「これは血なまぐさい戦(=いくさ)になることだろう。いつの戦いにも増して」
千人隊長エリス・ガザンデは、この戦いが大戦になることを見通していたのである。
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