詩の日めくり 二〇二〇年一月一日─三十一日/田中宏輔
〇年一月三日 「弟」
ストーブのまえで、片腕を枕にしてまどろんでいたら、あごの下を弟の足があたって、がくっとなったので、知っててやったなと言うと、いや偶然、と返答してきて、謝れと言うと、謝らないと言う。なんちゅうやっちゃろう。
二〇二〇年一月四日 「軌道」
弟の左目が軌道を外れて顔の外に出かかっているので、はやく病院に行けと言ってるのに、いっこうに行こうとしない。ぼくだったら、心配で、すぐに病院に行くのになあ。
二〇二〇年一月五日 「夢」
奇妙な夢を見た。オックルビー夫人というのが出てきて。つぎつぎと、毎日、お菓子をたべさせてくれる、しかもそ
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