遮光と被覆、傘の足下。/あらい
正解ではなく
偽薬はずいぶんの作用を引き倒す
その日の朝に
ひとがたをのこした版画の川があり
華麗なキャンバスに塗り潰した
透明なマスカラで見開かれた扉の対岸へ
ゴーストは愉悦に浸るようで
からだを熔かしている、
今時
わたしをかんがえている
暮れ泥む道と泥濘に中り
くだらねえ言い訳を零しながら
苦虫だったら しょうがないかと摘んで
いつかの老人を生(な)せるような
曼殊沙華が咲き乱れているから
ともども、わらいとばしてしまえばいい
長靴と
雨傘と
戦火を
にじんだイロの包帯で覆って
取り分けたチョコレートと夢見乍ら
まわれ、
さして、
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