裏庭を越えて/木立 悟
 
を淡くにじませている
平たく細い
光の味が降る


曇が地に触れては柱になり
倒れ 倒れ 突き刺さる
裏庭から
海へつづく径の途中で


蜘蛛
動かぬ壁の蜘蛛が動き
窓硝子を食べてゆく
土にこぼれる光 光


人のかたちをした空が
水へ水へと倒れ込む
灰色がゆうるりと
光を吸っては吐いている


もう一度 海へ向かう
もう二度と 裏庭を振り向かない
胸の痛み 骨の痛み
内と外に重なる笑み


透明と灰の降りしきるなか
脚を動かしつづければ
時間は常に緩みほどけ
膝の高さに打ち寄せる





















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