馬鹿さ加減/ホロウ・シカエルボク
てぼくを試すんだ
王の墓場を守るスフインクスみたいにね
ぼくはあえてなにも気づかない振りをして
時々は乗ってみて時々ははぐらかして
どこまでが本当かなんてふたりともわからなかったけれど
それがぼくらにはちょうどよかった
でも、今度ばかりは
ちょっと毛色がちがうやつみたいなんだよな
ポール・オースターを読み終えても
手紙の封を切ることはなかったし
幾度目の週末にも来客は無かった
始めは手持無沙汰な感じもしたけれど
あっという間にぼくはやりかたを思い出した
現実なんて案外こういうものなのかもしれないな、なんて
自分で淹れる珈琲も手早く様になってきたころ
突然、くしゃみ
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