その夜の果てに・・・/ruruka
 

眠気覚ましのコーヒーが
胃の深くへ沈むまで
私は しばし待つ

夜が全てを飲み込むかの如く
それを待っている間に
やってきた

夜はボタンをかけ違えていた事に気づき
もう一度やり直すまでの短い時間さえも
待ってはくれなかった
まるで思いのままふるまう暴君の様だった

涙は頬を流れて 私はそれを隠したくて
笑顔を作る事に夢中だった
誰にも知られたくなかった
私が泣く事を・・・

強がりな所が災いする
頼れない頼めない甘えられないの三重苦に
言葉どおり苦しむ毎日

派手な装いは好きではなかったし
好んでモノトーンで我が身を整えた

やっと彼が来て 二人は夜の海をみていた
彼にも本来の自分を全く見せていなかった

青白い顔の私に 彼は不安がった
安物のイヤリングが揺れた
私達は口づけを交わした
まるで何かの儀式のかのように厳かだった
それが私をいささか自由にした

今 私は自分の女性としての性を知った
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