詩の日めくり 二〇一九年十三月一日─三十一日/田中宏輔
と、病と、憤りの中にある。
(旧約聖書『伝道の書』五・一七)
悲哀の背後には常に悲哀がある
(ワイルド『獄中記』田部重治訳)
われわれにとっては、ただ一つの季節、悲哀の季節があるだけである。
(ワイルド『獄中記』田部重治訳)
二〇一九年十三月三十一日 「断章」
悲しみは、一回ごとに一つの法則をわれわれにあかすわけではないにしても、そのたびにわれわれを真実のなかにひきもどし、物事を真剣に解釈するようにさせる
(プルースト『失われた時を求めて』第七篇・見出された時、井上究一郎訳)
世界はすべての人間を痛めつけるが、のちには多くの人がその痛めつけられた場所で、かえって強くなることもある。
(ヘミングウェイ『武器よさらば』第三四章、鈴木幸夫訳)
苦悩(くるしみ)は祝福されるのだ。
(フロベール『聖アントワヌの誘惑』第三章、渡辺一夫訳)
苦痛の深部を経て、人は神秘に、真髄に達するのだ。
(プルースト『失われた時を求めて』第六篇・逃げさる女、井上究一郎訳)
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