アルカイック・モノローグ/ただのみきや
に潜むモビディクに
人身御供を模した疑似餌
永久に結ばれず永久に睦ましく
見知らぬ他人のまま
恋人より双子より近く
肩が触れるか触れないかの
無限の断絶を挟んで
ひとつの風景の前に立つ
そうして記号は展開する
混沌から浮かび上り
どこか必ずかけた整合性
死んだ渡り鳥に弦を張って
深々と手を差し込んで
書きたいことも書くべきことも
つがいの鴨がなにか啄んでいる
雪のまだとけ残る 葦も水草もない
小さな川の澄んだ流れ
橋の上から眺めていた
水底のかたちに膨らむ水とまろぶ光のほか
なにもなさそうな冷たい浅瀬
なにを啄んでいる?
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