アルカイック・モノローグ/ただのみきや
ラブソング
ひとつの風景の前に立つ
触れそうで触れない
右の肩と左の肩
あなたはわたしの
わたしはあなたの
鏡像――大地の無意識から
掘り起こされた太古の心象
願望に歪みふくらみくびれ
忘却により美しく損なわれた――
盲しいた眼差しで愛撫して
唖者の唇で触れて測る
わたしたちは語り合う
アルカイックなモノローグ
とても朴訥
無意味にも意味深にも聞こえる
ことばを覆いふくらむ声が
煙の獣のよう
鎧兜のすき間から侵入する
うす暗い回廊から
花咲く庭を見つめている
性の媚態の代わりに
二人はそうして来た
これからもずっとそうだろう
互いの深みに潜
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