はぐれものの夜/ホロウ・シカエルボク
 

もの言わぬ時に埋もれ、目の端に微かな痒み、割れた指先の鼓動…生は歪みによって饒舌になる、忌々しい話だと思いながら苦笑を繰り返す、蚯蚓のように床の上でのたうちながら、いつか、道端で死んだ友達を思い出す、覚束無い春の憤り、それこそがお前の命題だと長電話のように次が用意されている―眠るべき時刻だが、果たして―ロクサーヌ、と叫び続ける歌、甲高い声で…そんな歌を聴いていると耳掃除がしたくなった、けれどもう脳味噌は眠る準備を始めていて、到底上手く出来そうな気がしなかった、カーテンに隠された外界のことを思う、いや、おそらくは、隠されているのはこちらの方なのだ、思考はもはやうわ言のようにとりとめもなく…眠るべ
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