呪いのネックレス(一)/朧月夜
閑話休題として盗賊ヨランの話をしよう。
盗賊ヨランは、カシュガル夫人にギボーシュのネックレスを、
盗んでほしいと依頼されたことがある。
もちろん、盗賊ヨランは依頼されたことは確実にこなす。
クールラントの国では、所有権というものが曖昧であった。
強い者が強き魔力を持ったものを手に入れる。
そうしたことは、平然とおこなわれていた。
ギボーシュのネックレスは、カラスガラの博物館に、
陳列されていた。しかし、カラスガラの博物館の結界は弱い。
盗賊ヨランにとっては、その盗みはたやすいように思われた。
「お任せください、わたしがギボーシュのネックレスを盗み出します」
しかし、そのネックレスには呪いがかけられていたのであった。
すなわち、その所有者を狂わせる力である。
今、ギボーシュのネックレスは博物館にあり、災いをもたらすことはなかった。
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