故郷の記憶/番田
今感じていることを未来の僕は思い出すことはあるのだろうか。でも、例えば前に住んでいた場所で食べた中華料理の味だとかは思い出すことはできなかった。そんな風に、やはり、故郷で見て触れて感じたものは、自分の原点になっているのだということは、間違いないような気がする。中学生になった僕にいた三人の友だち、でも、彼らとは今は連絡はとっていないのだけれど、彼らと比べてこれから関わる人がどんな人であっても、思い出すことはもう、あまりないのだと思う。そう考えると、人生というものはなんとなく運命づけられているようでいて、不思議なものである。
戻る 編 削 Point(1)