パンドラがあけた大きい方の玉手箱/ただのみきや
 
た餅を置くために
重箱の隅をつつくくらいなら
黙って金を出せ
黙って体を動かせ
自分にできることはこれだけと
安全な詩の中で平和を呟くくらいなら
いっそとぐろを巻いてやろう
馬鹿ども肴に酒を飲もう
正義と正義感の違いを嗤いながら
偽ダイヤよりはるかに美しい
悪の華でも愛でようじゃないか





肉体の春

風と光にとけてゆく
なのにここにある肉体
肉体は肉体を求めている
ときどき人であることが嫌になる
風と光にとけてゆく
霞のようなものを抱擁したい
春の女神と呼んでみたい



               《2022年3月27日》








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