来訪者(三)/朧月夜
「クールラントは正式に、
わたしを敵とみなしているわけではない」
そんなエインスベルに、ハザック・アザンは答える。
「時間の問題なのです。アイソニアの騎士が追放されたように」
「クールラントがわたしを敵とみなすのであれば、
わたしはいつでも亡命するだろう。
しかし、今はその時ではない。
アイソニアの騎士が感じたような危険を、わたしは感じていない」
「それは、オークの傭兵たちがいるからでしょう。
彼らを雇えなくなったら、どうでしょうか?
クールラントは、今でもレ・スペラスとの戦いの準備をしているのです」
「それも承知している。もし、戦端が開かれたのなら、
わたしはどこかへ隠遁するか、ヒスフェル聖国へと向かうつもりだ」
エインスベルは、淡々として答えた。
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