PRESENCE/ひだかたけし
澄み渡る空に
哀しみの穴を穿つ
(重層する声の木霊に
向こう側へと突き抜ける
大いなる励ましを得て)
ひかり、ひかり
光は射して
ひかり、ひかり
光は満ちて
哀しみの底無しに
途方に暮れ
春のざわめきを聴く
淡い肉感を優しく感じ
聖なる面を仰ぎ見る
道行く隣人への畏敬が
内底から沸き起こるとき
私は独りの人と成る
澄み渡る空に
哀しみの穴を穿ち
億万と鳴る記憶の束を蹴散らせ
プレゼンス、
今、此処に在ること
ただそのことだけに震撼し
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