雨の日の憂鬱/山人
 
世界がある。明治の頃、私は如何していただろうかと考えれば、きっと未だ種にもなっていなかった頃であったであろう。その種ににもなっていなかった頃に私は確かに戻っているという事実がそこにある。本を読むということはそういうことなのだと不思議に感じた。
 県境のはざかいの無人駅の次は福島県であるが、雪解けが進み、雪崩の危険があるということで県境を越えない運転が続いていた。始発駅を出てここ県境駅で一時間半から二時間時をつぶし、折り返し始発駅に戻るというパターンを来月の初旬まで計画されているようだ。よって、観光や遊びで乗車する人が県境駅で一旦下車し、あたりを観察するという行為が目立っていた。
 我々のいる除
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