昨日、私は山に向かった/山人
 
、曲がる(ターンする)という行為は不可能であった。極めて原始的ではあるが、斜め下に向かって直滑降で滑走し、止まってから方向転換し、ジグザグに九十九折状態で下降した。
 標高一〇〇〇メートルから下は、今度は重いザラメ雪であった。曲がることは可能であったが、雪の抵抗が強烈であり、難しい局面が多々あった。
 目指した山にはすでに季節を問わず二〇〇回以上は登っていた山であった。季節ごとに、その日毎に山は表情を変える。昨日山は、私を拒んでいたのだろうと思う。最後まで付き合ってくれたが、さすがにここから先は行かせるわけにはいかないと言った山の情けであった。
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