昨日、私は山に向かった/山人
 
カ雪が終日続くことになる。一〇〇〇メートル以遠はまさにそういった具合で、表面に草加せんべいが乗っかっているような具合だった。
 霧があたりを覆い、視界は一〇メートルほどであったが、ほぼ地形は熟知していたし、前日の登山者やスキーの跡が克明であり、地形を間違うことはなかった。
 一二〇〇メートルピークで握り飯を食った。サングラスをとると幾分明るみを感じた。それに勇気づけられ、とりあえず一四七〇メートルピークまで行こうと思った。
 一四七〇メートルピークを越え、一五三〇メートルピークにもう少しで着くと思われたころ、強風が威力を増し、私の体が浮くような恐怖に襲われた。尾根の裏側は最大斜度四〇度近い斜
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