都市/壮佑
 
、蒼白
い炎の鞘に包まれて燃え上がっている。地平線の彼方
では、巨大な蜘蛛が手足を広げて、胴体からぶすぶす
黒煙を上げながら、夜の海に横たわる銀河のように、
ゆっくりと沈没して行く。

│/┌─―/―/──┌─ ・The last cigarette・
最後のタバコに火を点けて、俺はまた歩き出す。長い
鞭毛をのたくらせて泥水の中を泳ぐアブの幼虫を模し
た装置が、何処かで作動している。空洞の遥か北に立
つ銀色の塔から、闇の粒をばら撒いて餌付けした巨鳥
が、全ての夜に対して補色で光る夢を分泌しながら、
この都市を睨め回している。

・The inside of the skul・/┌─―|―//│?/
だが、俺の頭蓋の内側を、七色の棘で突ついているウ
ニが、いま垂れたあぶくのような糞の色までは、まだ
視ることはできない。





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