小詩集・中庭/岡部淳太郎
 
 中庭 1


午後の
柔らかい日が射しこんできて
すべてが淡い色のなかに溶けてゆく
地球という中庭
私の心に拡がる中庭


 中庭 2


草をむしる
中庭の清潔を保つため
切っても切っても伸びて来る
草どもを
その根からむしってゆく

むしられた草を
捨てる場所は
私の心から取り除かれた草の
たどりつく場所は


 中庭 3

{引用=
誰もここには立ち入らせない

私は中庭であり
中庭は私そのもの

この外から隔絶された空間だからこその安寧
それを 誰にも触れさせない

中庭に満ちる光は
眩しすぎず
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