バウンドの世代/ホロウ・シカエルボク
 
ものはもしかしたら絶望だったのかもしれない、だから最初から、失われたものや抜け落ちた感情が必要だった、欠損したピースは必ず、僕らの暗闇にしっくりくるだろうってみんなわかっていた、夜明けまでにはまだ数時間あるから、走ろう、膝が存在を支えられなくなる瞬間まで、走ろう、視界が滲み、汗が吹き出し、心臓がジャングルビートに駆逐されるその瞬間まで、走ろう、僕らは夜の中で明滅を繰り返す、未来は、どれだけの過去を積み上げたのかという確認事項でしかない、明日を誇るために、どんな些細なことも考えることなくいまだけは走ろう、どんなに走っても遠くへ行けるわけじゃない、けれど、鞄の中で揺れている図書館の本が、その行数と同じだけのなにかを僕らに求めている、どうしたってそいつにはきちんと答えて見せなくちゃいけないんだ、走ろう、夜明けまではまだ数時間ある、どんなものも僕らのすべてを照らし出したりなんかしない、すべてが決断のもとに動くこの時間、僕らは明滅を繰り返す、太陽の下では意味すら伝わりはしないその明かりは、いま確かに生きている僕らの荒い呼吸の中で歓喜の歌をうたっている。

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