詩の日めくり 二〇一九年十月一日─三十一日/田中宏輔
 
二〇一九年十月一日 「断片」


 彼には、あたたかみを感じられなかった。かれには、あたたかみなどなかったからである。


二〇一九年十月二日 「詩論」


 言葉は存在をくわだてる。存在の輪郭を明瞭にしようとし、存在の様態を語ろうとする。


二〇一九年十月三日 「詩論」


詩は遭遇である。詩とは、遭遇の創造である。


二〇一九年十月四日 「考察」


自分が軽く見てバカにしていたことに、もっともよく教えられることがある。


二〇一九年十月五日 「詩論」


とくに詩人というものは、詩の読み方も、詩の書き方も知らないものなのだ。


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