熟れた瓜ことばに固い貝ことば/ただのみきや
フランス白粉
エッフェル塔みたいに立っている
女の股を風がくぐり抜けた
いつも意図せずやって来る
自分の中の誰かが世界を刷新する
神の時計
人は一個の時計
誰の目にも自分の目にも
針も文字盤も見えない
貝のように閉じた時計
何かが始まり何かが終わる
時世や誰かの影響なんて
指し示す時の内的衝動により
そこにあるものに手を伸ばしただけ
時は定まった日時ではなく
種子の発芽のよう
条件が満たされて訪れる
水の歯車の寝息のような軋み
わたしは旅する塵であり
愚鈍な巨体の一細胞ではない
世界との辻褄合わせより
遠
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)