「万華鏡」  【やったよ!100行連詩】/ベンジャミン
 
まそうとするその
太古からの輪唱は
輪廻を重ね受け継がれゆく悠久の流れ
薄れ行く影たちは風に吹かれ
新たな色をまとってゆきながら
やがて日々を描き出す光になる
去り来る者の王国にはそんないくつもの日常が
梢に灯る宝石のように数多の
それはあたかも万華鏡の中に散らばるあの
澄んだ生命の追憶として
忘れ去られたあなたを今につなげようとする
音もなく張りめぐらされた糸
その糸をつたう欠片が組み合わさったとき
組みあがる鮮やかなユートピア
少しの変化に彩られる日常を知っている
あなたの手のひらにも王国があることを
忘れないためにいくつもの色がある
焼き付けるために光がある

細かな穴を覗き込むのでなく
ひとつの空を見渡すように
裏も表もない眼差しで真実を透かしてみせよう
苦い傷でさえ真珠のようにくるんで
新たな傷に怯えることなく
心沈める鎧さえ捨てて

刻々と変わり続ける現実という万華鏡の中
向かい合い反射し続ける幾万の瞳が
それぞれの色を集めるとき

そこに吹くはじまりの風

   
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