アースランテ対ラゴス(二)/朧月夜
 
アイソニアの騎士は、ゾフィアスの剣を有していた。
それは以前にも述べたが、魔力を宿した魔剣である。
ゾフィアスの剣は、エミル・アザルの目をくらますのに、
うってつけであった。

ラゴスの兵は五千を切る。対して、アースランテでは、
未だに一万の兵士を有している。
短期間の決戦の場合、籠城戦が圧倒的に有利である。
しかし、サンクト・ガリは徐々に疲弊していった。

アースランテからは、日ごとに救援物資が届いていたのである。
しかし、ラゴスの国ではラディアを守るのに精一杯であった。
サンクト・ガリはどうしても、自分自身の力で持ちこたえなければならない。

それは至難のわざであった。しかも、ラゴスには別の課題もあったのである。
アースランテは、リーガンテの国へも侵攻しようとしていた。
リーガンテの国は商業国家である。すなわち、この世の経済を牛耳っている。
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