きえている/草野春心
 


  なでられ なめられ
  めでられ めくられて
  いるときに また
  硬く 近く 拒むのだった
  キッチンで
  蛇口で
  ぼくじしんのようなあらわれと
  いっぽんの水道水は
  ひかりが
  そこらの あいだに詰まっているから
  あけがたの部屋はまぶしい ひかりとは
  じゅうぶんに きえていることだ
  きみの髪が くろい ながれている
  どうしてやってきたのか
  ことばのなかにいて
  たどれない



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