振り上げた拳で自らを力いっぱい殴る人のために/
ただのみきや
だまま解けてゆく
つややかな花びらの夢うつつ
その歌声は風だろうか
それとも真新しい白い翅で春風と戯れる
軽やかな蝶の蠱惑な歩調
喜びと悲しみの溶け混じる
冷たいブロンズの頬にも
囁く幼女の吐息のように触れ
光と涙を一対の価値ある宝石として
すっかり長くなった黄昏の影に添えた
遠く近くやわらかな
歌声は風のように
《2022年2月27日》
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