未だ、その血飛沫は。/ホロウ・シカエルボク
 
夜はきちがいの回転数でお前の脳髄を貪る、微弱な電流が起こす目視出来ない程度の燃焼が、すべての回路に障害を設けるのだ、微かな異音、焦げる臭い…原因は特定出来ない、無意識下の疲労、浸食、知らない間に蝕まれている、ほんの少しずつ、砂山を崩さぬように痩せさせるみたいに―早朝、目覚める直前に見た夢だったのか、それとも目覚めてから見た厳格だったのか、到底区別は出来ない、意識の表層で知ることなど本当は何の役にも立たない、真っ白い画面だけが矢継ぎ早に繰り返されるフラッシュバック、言葉はそこを埋め尽くすことは出来ない、生きている限り更新されてしまうものだ、そうして俺たちはまた、真っ新な記憶の前で立ち尽くす、昨日など
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