動脈/蝶番 灯
あたしの良きうわべが最近お留守で
さらけ出された本体だけがお相手をしています
独りのはずの帰り道を塊で歩きました
結局放っておかれたのに、それが嬉しいと感じました
途中坂道の別れ際の挨拶が空々しくも見え
何を望んだのか現実にあたしも解らない
そうね まだ 解ってない
たかが偽りの慈しみと気付かぬあたしが馬鹿だった
それでも宜し
あたしは独りでいる時の時間を愛し
二人でいる時の時間を嫌がり
それ以上の人数を恐れました
あたしは 沈黙や疲れを恐れたのではない
理解される事を恐れたのです
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)