動脈/蝶番 灯
 

あたしの良きうわべが最近お留守で

さらけ出された本体だけがお相手をしています



独りのはずの帰り道を塊で歩きました

結局放っておかれたのに、それが嬉しいと感じました

途中坂道の別れ際の挨拶が空々しくも見え

何を望んだのか現実にあたしも解らない



そうね まだ 解ってない

たかが偽りの慈しみと気付かぬあたしが馬鹿だった

それでも宜し



あたしは独りでいる時の時間を愛し

二人でいる時の時間を嫌がり

それ以上の人数を恐れました



あたしは 沈黙や疲れを恐れたのではない

理解される事を恐れたのです

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