別れのために/ふるる
 
すごと通り過ぎる
綺麗なレース編みの肩掛けをぷらぷらさせながら
それは親切な人が大切に編んでいて
欲しそうに見ていたらくれたんだった

何でも欲しがるしすぐに命令したがるけど
本当に欲しいのはきっとそれじゃないよ
しばらくは冷たい雨で
それが過ぎたら冬になる
こんなレースじゃ寒いままだけど
綿花の摘み方さえ知らないんだよ

積荷がゆっくりとおろされて午後には晴れ
責任者が出たり入ったり
ありがとうもごめんねもただ言ってるだけで
アップルパイがどうのとか相談していたけど
うなずいてる方はもう飽きている
うわのそらで空を見て
あのたわんだ雲はなんて名前
風にさらわ
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