気持ちが良かった/竜門勇気
 
ていて、広戸風が吹いて、
松葉が道にずっと向こうまで散らばったので、わたしが掃いて捨てました。
何ものかのメッセージを受け取る
メッセージはメッセージのまま道に散らばった
風のようなものが何もかも吹き散らかしていった
伸び切った前髪が視界で暴れる
しゃがみこんでしまう
心がないから気持ちがない
まだ少しだけあたたかそうな猫の死体を
飽きるまで見ていようとしている
気持ちがなくて本当に良かった
気持ちがなくて本当に嬉しかった
気持ちがなくて本当に申し訳なかった
気持ちがなくて本当に困ってしまった
気持ちがなくて本当に気持ちよかった
中から湧いて出る蛆虫が本当に好きだった
早くこいつを食らいつくしてくれと神に祈った
早くこいつを終わりにしてくれと神に祈った
早く開放してくれと神に祈った
神様は心がないとダメだと言って
何度もぼくを蹴った
顔を殴った
蛍光灯を背にして神様が喋った
ぼくは本当に君が好き
神様は壊れたラジオを蹴った
嬉しそうにしてる
そしてもう一度ぼくを蹴った
それが本当に、本当に、本当に気持ちが良かった


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