詩の日めくり 二〇一九年六月一日─三十一日/田中宏輔
 
ど。
りょう。


二〇一九年六月二十六日 「夢」


 あさ、目が覚めたら、左手の甲の真ん中に、顔みたいなものができてて、じっと見てたら、そいつが目を開けて突然しゃべりだしたので、びっくりした。どうして、ぼくの手に現れたのって訊いたら、あんたがひととしゃべらないからだよって言った。いつまでいるのって訊いたら、ずっとだって言うから、それは困るよって返事すると、ふだんは目をつむって口も閉じておいてやるからって言った。きみともあんまりしゃべることないよと言うと、気にしない気にしないって言うから、ふうん、そうなんだって思った。でも、なんだか迷惑だなとも思った。


二〇一九年六月二
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