詩と体験/藤原 実
エロスと灰からできているぼく、
おなじ否定と絶望に
悩まされているこのぼくにできることなら、
見せてやりたい、
ある肯定の炎を。
(*訳注 1939年9月1日 この日、ドイツ軍はポーランドに侵入。その二日後、第二次大戦が勃発した。)
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ぼくがこの詩に感動するのは、この詩にこめられたメッセージが感動的だからじゃない。
なにかある現実やメッセージを伝えるなら詩は小説などの散文にかなわないと思う。でも詩人はその選び取るコトバとその配置によって、アタマのなかに飛び散るイメージの閃光、じぶんの息づかいや脈拍までダイレクトに表現することができる。
そういう詩人との「直接」の出会いこそ詩のミリョクではないでしょうか。
1999/09/26 藤原 実
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