コウモリとひきこもり/末下りょう
 
あっと 面食らう
闇の
野放図
近所のべらぼうな悪童が何気なく足を止めて見上げた空みたいに
肝を冷やして肝をつぶす物好きな闇の野放図)

薄っぺらな板でできた
部屋を
まざまざしい害獣のようにうろつきだす
二つの鼓動は
バクバク部屋を飛び出すと

昨夜の
投げやりな叙述が
未熟な通り雨みたいに
後をついてまわり

ぼくの耳は壁に消えて舌は灰の味しか知らないことを知り
素肌にそばだつ言葉に戸惑い
このうえなく
すべからく
穏やかそうな
時間が
西に向かう
濡れた芝は竜の鱗でも亀の甲羅でもかまわないと

線の束でできたものたちは
平らなコウモリの翼で出逢うだろうから




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