いり/AB(なかほど)
 
  

名を知らぬ
野辺に寄り添う
花ふたつ
凪いでも鳴かぬ
やがて泣きぬる


告げるもの
聞こえぬふりの
母の手の
彼岸の先の
蒲の穂の
しとりしとりの
虹の向こうの


日の入りと
餞ありと
にじむ人
報せがありと
庭の青鳩




なをしらぬ
 のべによりそう
  はなふたつ
   ないでもなかず
    やがてなきぬる


つげるもの
 きこえぬふりの
  ははのての
   ひがんのさきの
    がまのほの
     しとりしとりの
      にじのむこうの


ひのいりと
 はなむけありと
  にじむひと
   しらせがありと
    にわのあおばと




   
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