詩の日めくり 二〇一九年四月一日─三十一日/田中宏輔
 
の記憶を。


二〇一九年四月二十一日 「夢」


 いままた夢を見た。中年の姉妹の会話がおもしろかったが、その父親がぼくの母方の叔父だった。じっさいには姉妹は存在しない。姉妹の会話は忘れてしまったけれど、ぼくは、その姉妹のことを眺めて、夢のなかでこんな感想を持った。姉はぼくと同じ53才。「姉は53才の苦悩がある。しかし、妹はこれから53才になるやもしれんという不安と、いまの齢の苦悩がある。けっきょく、人間は齢をとったほうが強いのだ。その齢まで耐えて生き延びてきたのだから。」と。姉妹の皮肉な会話はおもしろくて、夢のなかでゲラゲラぼくは笑ったのだけれど、その会話は思い出せず。



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