泥棒する青空/ただのみきや
 
止める言葉の連鎖に
犯されて感情から遠く離れた灯台で解剖されたその残余から
客用の小皿に盛り付けられたものには黒い虹がかかっていたが
虚構の椅子で足を組んだいつかの理想は悪魔の小瓶を取り出して
小さなウミウシを女に変えて見せると言う口の中でヘリが飛んでいた
だけどもう全ては手遅れでロックンロールが聞えるのは貝殻のような
頭骨の欠片に口付けする時だけで歴史は無数のフラッシュ・バックで
彩られた市民演劇に過ぎないとわたしは割腹した断固として
捏造する烙印を押されたペニスを虚空に押し当てる瘠せた象のように
反動の振子に貫かれ少女の潤んだ瞳を企んだ縄文式迫撃砲
荒地で蟹を使役しながら心肺をまさぐる白く伸びた手の蝶々結びに
きみたちの所有物を垣間見る瞬きのような雑念の果て太鼓のように
響かない塔の乱立した林の陰で欹てる蛇が匂いを舐める朝に



                    《2022年1月30日》








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