泥棒する青空/ただのみきや
に纏う柔らかく捻じれた壺
天使を人質にとるもの
彼女の腰は災いと恩恵の天秤のように揺れて
神話の処女性から火の粉を零す
眼差しを池にして記号を深く沈めてしまう
彼女は終わらない数式 証明されない定理
跳ね踊る魚 目隠しをした巡礼を連れ回す
彷徨える女王の墳墓
彼女は虚構の浅瀬にまで寄って来る白和邇
鏡を曲げて瞬間を悠久の面差しへと変える
繰り返される聖なる火照りに蝶番のネジは緩む
彼女は舞踏
わたしの灰に寄り添う煙の巫女
企みある失語者の獣を連れた散歩
彼女は額に咲く美しい短剣 自責の銀の鎖
下着の中で溶けてゆくアイスクリーム
自殺志願者たちが振
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