泥棒する青空/ただのみきや
 
衝突

虚空をただひたすら遠く
時の道を踏み外すところまで
それとも落下
全ての存在の至るところ
深淵の 
真中の
針先で穿たれたような一点へ
そんな慣性のみの
生の旅路であったとしても
強い引力に捕まることだってある
奇蹟とか偶然とか確率とか
考えも望みもしなかったのに
衝突は唐突
奇妙なことに
見知らぬ大地にいだかれていた
ひとつの時代を滅ぼして
致命傷の如く
互いを深く抉り合って





彼女は

彼女はわたしの消えない染み
動き回る刺青
朝に燃え上る澄んだ花びら

彼女は太陽が醸した黄金
狂った蜜蜂の群れを肌に纏
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