禁煙 2022.01.28(金)/田中恭平
 
毒により一時文壇を離れた、とあるが、これは一体どういうことなのだろう。それにしても、昔の文士はよく喫っている。芥川龍之介が一日百本喫って煙草のことを「宝石箱」と評している。
 芥川龍之介は睡眠薬依存、それも昔の強力な睡眠薬の中毒でそのまま果てたことになっている。作品「歯車」の、眼前の歯車の幻視はこの睡眠薬の影響である。しかし、その不眠症の原因は鬱だったと言われている。私はここに、煙草の悪魔の影を感じる。
その鬱病の原因は、一日百本の煙草ではなかったのか、と(煙草を喫っていると鬱病になりやすい)。


 さて、私は生活が困窮しかけているのをきっかけに今日というか明日というか煙草をやめようと
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