ファシブルの国のエインスベル(一)/朧月夜
 
ファシブルの街々は、以前にもまして疲弊していた。
ファシブルの国は、以前はライランテ一の商業国家だった。
(ライランテとは、クールラントやファシブルを含む北半球の大陸である)
しかし、ミーガンテが国の右傾化を進めて以降、

ファシブルの国は貧困化する一方だった。
エインスベルはそれを悲しんだ。
豊かでなくても良い、もし平穏であれば、その国家は幸福なのである。
ミーガンテ・アリア・ガルデは、この世に仇をなす存在だ。

エインスベルは、ファシブルの国の街々を巡り歩いた。
ファシブルの国はそれほど大きな国ではなかったのである。
エインスベルは一人だった。アイソニアの騎士は、別の集団として行動していた。

「ファシの街で三日後に会おう」それがアイソニアの騎士との約束だった。
エインスベルは、この時も逡巡していた。
ファシブルの国は、今後どのようになっていくのだろうかと。
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